世界一貧乏だといわれたウルグアイの大統領だったホセ・ムヒカさん。
「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」は、当時大統領だったホセ・ムヒカさんが、2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国際会議で有名になった伝説のスピーチが書かれた本です。
環境が悪化した地球の未来について、話し合うための会議で、演説の壇上に立ったムヒカ大統領の姿は質素な背広にネクタイなしのシャツ姿だったそうです。
そう、ムヒカさんは世界で一番貧しい大統領だったんです。
給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場で奥さんと今でも暮らしています。
花や野菜を作り、運転手つきの立派な車に乗るかわりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいました。
身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人びとは親しみをこめて「ペペ」と呼び、大統領を辞めた今でも大好きなんです。
とっても優しい顔をした大統領のムヒカさん。
そんなムヒカ大統領の演説が始まりると、会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいなかったようですが、演説が終わったとき、大きな拍手が沸き起こったそうです。
ムヒカ大統領は「環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であり、私は金持ちではないけれど貧乏ではない」と胸を張って言っています。
経済の発展ばかりが優先される今の世界を皮肉るようなスピーチが聞く人の心を打ったのでしょう。
お金持ちがもてはやされる今の世の中で、
「お金があれば幸せなのか?」
「お金がなければ幸せにはなれないのか?」
ムヒカ大統領が日頃から実践している考えが滲み出たスピーチでした。
幸せとは何なのか?
「発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはならず、愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと」とムヒカさんは説いています。
私たちが普段の生活で忘れてしまいがちな”心”を思い出させてくれるのがこの本です。
シンプルなムヒカさんの考えが、優しい言葉で書かれているので、子供だけでなく是非大人の方にも読んでいただきたい本です。
この本が子どもたちに「幸せとは何なのか?」を教えてあげるいい機会になるのではないでしょうか。